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アルク平本氏 Selan顧問就任|アルク創業から英語教育に捧げた半世紀を語る

1960年代から半世紀に渡り、日本の英語教育界を牽引して来た英語教育出版社・アルクの創業者最高顧問である、平本氏が2020年3月より株式会社Selanの顧問に就任。英語教育について語ってもらいました。

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英語教育に情熱を捧げた半世紀


Q. どうしてアルクを立ち上げようと思ったのですか?

今から半世紀以上前、1969年にアルクを創業しました。1964年のオリンピックが開催され、日本が戦後のどん底からやっと復興し、再び国際社会の仲間入りをし始めた頃ですね。

これからの国際化の時代に、英語は今後絶対必要になってくると思ったんです。アルクを設立する前、勤めていた会社で多くの国際会議に携わる機会がありました。そこで、思ったんです。学校で習ってきた「教科書の英語」では、国際会議で全く通用しない、と。

その経験から「本当に使える英語」を身につける上では、「生の英語」を教材にするのが一番早いだろうと考えました。そこで生まれたのが、今も出版されている雑誌「ENGLISH JOURNAL」です。本誌では、国際会議のスピーチをそのまま、編集せずに教材にしたんです。ところが、作ったはいいものの「難しすぎてこんな教材使えない」と言われ、最初は全然売れなかったですけどね。


Q. その後、その後、どのように広がっていったのですか?

その時代、ちょうどカセットテープが普及し始めました。アルクは、カセットに英語のスピーチやコンテンツを録音して、教材として販売するようになりました。1970年代、ソニーがウォークマンを発売し、それが世界的にヒットしたおかげで、アルクの教材がよく売れました。

学校で習う英語とリアルな喋り言葉が違うということに、人々がだんだん気付き始めたということもあると思います。いくら学校の英語を勉強しても上達しない、と。教科書の言葉は綺麗で、正確な文章で書かれていますが、実際の会話はそうではないですよね。言葉が重複したり、論理的でない文章もある。でも、むしろそれが自然じゃないですか。


過去50年で変わったこと・変わらなかったこと


Q. 長年携わってきて、英語教育はどう変わり、また変わらなかったと思いますか?

テクノロジーの進化は、英語学習を大きく変えましたね。20年ほど続いたカセットの時代から、90年代になってCDが普及し、今はCDもほぼなくなりました。テクノロジーの発達によって語学の学習法はどんどんアップデートされてきたのに、残念ながら、日本人の英語力はあまり変化しなかったですね。

Q. 今まで変われなかったのは何が原因なのでしょうか?

なぜ日本人の英語力が進化しないのか?ということについては、色んな議論がなされていますけど、僕は、一にも二にも日本人の「危機感」だと思っています。日本は非常に恵まれていて、みんな「英語できたらいいな」とは思ってるんですが、実際に「英語を使わないと生きていけない人」はごく僅か。

一方、韓国・中国はその逆です。英語ができないと、まともな仕事にありつけないという危機感から、生きてくための手段として、切羽詰まった気迫を感じます。

特に韓国は、1997年金融危機で国家が破綻寸前まで行きました。これが韓国の英語教育における大きなターニングポイントになったんです。日本はそこまで悪化しなかったので、韓国ほどの「危機感」は醸成されなかった。それが良かったのか悪かったのか、意識の違いによって、日本と韓国の英語力には歴然たる差がついてしまいました。


今、本当に必要な英語教育改革とは


Q. 今の日本に必要な英語教育について、どうお考えですか?

90年代から20年の間に、日本は世界から立ち遅れてしまいました。その勢いの失い方は、目を覆いたくなるほどです。その大きな原因は、教育、特に英語教育が出遅れたことにあります。

日本が今すべきことは、大きく二つあると思います。
まずは、幼少期からの教育。小学生から「本気で」英語教育をしないといけないと思います。とにかく、日本は英語教育に対する真剣さが足りないと僕は感じています。

90年代、アルクの英語教材は韓国の方々に絶大な支持をされていました。それが、2000年以降は一変、全く買ってくれなくなりました。「日本の英語教材は易しすぎて使い物にならない」と。今、韓国の書店に行くと、厚さ10cm以上の英語教材が書店にいっぱい並んでいますが、日本ではそんな分厚い教材、売れないですよね。英語に対する本気度が全く違うのです。

二つ目は、日本の高等教育です。大学の英語教育もうまくいっていない。大学の仕組みを変えていく必要があると思っています。日本の高等教育では、英語ができなくても卒業できますよね。

例えば、ハンガリーは、大学の授業は基本的に英語で行われるため、「高等教育を受けるためには英語が必要」という共通認識があります。その他、多くの国でもそういった体制に移行しつつあります。大学は「英語で授業が当たり前」「英語ができないと卒業できない」という仕組みにしたら、もっと多くの人の意識が変わるはずです。就職も、企業が英語で面接をするようになれば、日本の英語教育はガラッと変わると思います。


Q. そんな中、次世代の子供達に必要なスキルは何でしょうか?

クリエイティビティだと、僕は思っています。それが自然に身につくような教育にしていくことが重要ですね。まずは、教育に対する考えを改める必要があります。決められた公式を詰め込む教育ではなく、自分から学んでいく教育へ、生徒に丸暗記を促すのではなく、自ら主体的に学ぶ習慣をつけられる学びへ。文部科学省が決めた学習指導要領はもちろん大事ですが、みんなが平等でなくて良いのです。人間には、個性があるんですから。


Q. 子育て世代の保護者の皆様へ、一言お願いします!

これから、子どもを育てる世代の方々には、大事なお子さんが、世界中どこに行っても生きていける人になれるよう、育んで欲しいと思っています。その中で、英語はできて当たり前の世界になりつつあります。多くの日本人にとって、英語は大きな悩みの種ですが、小さい頃からやれば、なんでもないことです。今を生きる子どもたちが、グローバルな素質を持った大人になれるよう、一緒に未来を創っていけたらと思います。



【プロフィール】
平本 照麿|株式会社アルク 創業者最高顧問|株式会社Selan 特別顧問
1935年満州国生まれ、1959年早稲田大学文学部中退。国際会議の仕事をする中で、日本人の国際コミュニケーション力や使える英語力の弱さ、日本の英語教育のあり方に疑問を抱き、1969年、株式会社アルクを設立。1971年、月刊誌『ENGLISH JOURNAL』を創刊。以来「地球人ネットワークを創る」をスローガンに掲げ、メディアミックスによる新しい語学教育を目指す。2020年、株式会社Selanの特別顧問に就任。

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「学びをボーダレスに」をミッションに、子どもと世界を繋げる教育を展開するSelan(お迎えシスター/21世紀教育dot.school)の公式noteです。グローバル・英語教育について発信中です。https://omsister.com https://dotschool.org/

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